モブの意味は群衆やその他大勢という意味。そこから目立たない人として使われるようになった。

「モブ」という言葉は、さまざまな場面で使われており、それぞれのシチュエーションで意味やニュアンスが微妙に異なります。もともと英語の「mob(群衆、大勢の人)」が由来ですが、日本では主にアニメやゲーム、マンガなどの作品やサブカルチャーの分野で広まりました。「モブ」には「目立たないキャラクター」「背景として扱われる人々」といった意味が込められ、特にフィクションの世界で広く使われています。ここでは、「モブ」の意味や使われ方について詳しく説明し、さまざまな場面でのニュアンスの違いにも触れていきます。

1. モブの意味

「モブ」という言葉は、もともとは大勢の人々、群衆、無秩序な集団などを指す英語の「mob」から来ています。

この英単語自体は「集団」「大勢」といった意味であり、特定の個人ではなく、集団全体を指すニュアンスが含まれています。しかし、日本のサブカルチャーで使われる「モブ」は、その意味がさらに拡張されており、次のような意味で使われています。

  • 背景キャラクター
    物語やシーンを構成するために配置されるキャラクターで、特に目立たないキャラクターや重要な役割を持たないキャラクターを指します。これらのキャラクターは、「モブキャラ」「モブ」として扱われ、ストーリーの進行に直接影響を与えない存在とされています。
  • 平凡・目立たない存在
    「モブ」は、アニメやマンガのキャラクターだけでなく、日常的な会話においても「目立たない人」や「個性がない人」を指す言葉として使われることがあります。誰もが特別な個性を持っているわけではないため、「自分もモブだ」などと自己を表現するためにも使われます。
  • 役割が少ないキャラクター
    ストーリーの中で中心的な役割を持たず、話の流れや雰囲気作りに一時的に登場するキャラクターも「モブ」とされます。この場合、たとえば学校のクラスメイトや通行人、ファンタジー作品における村人などが「モブキャラ」として描かれることがあります。

2. モブの使い方

A. アニメ・マンガでの「モブキャラ」

アニメやマンガでは、モブキャラはメインキャラクターとは異なり、名前がついていないことが多く、細かい性格設定やバックグラウンドもありません。

背景を作り込むために配置される存在で、登場しても特に話題にされることなく、名前も呼ばれず、セリフもほとんどありません。

例えば、学園もののマンガで主人公が教室にいるとき、周囲にいるクラスメイトが「モブキャラ」として描かれています。

こうしたキャラクターは、主人公のセリフや行動に反応することはありますが、物語の進行にはほとんど影響を与えません。このように「モブキャラ」は、あくまで「背景の一部」としての役割を果たしているのです。

B. ゲームにおける「モブ」

ゲームの世界でも「モブ」は頻繁に使われます。特にロールプレイングゲーム(RPG)やオープンワールドゲームでは、NPC(Non-Player Character)の一部が「モブキャラ」として登場します。

これらのモブキャラは、街や村でプレイヤーと会話ができる住民として配置されているものの、特にストーリーに関与しない存在です。

さらに、アクションゲームや格闘ゲームなどでは、プレイヤーキャラクターやボスキャラクター以外の敵キャラクターも「モブ」として扱われることがあります。

この場合、「モブ」はプレイヤーに対して大量に出現する雑魚キャラとして扱われ、倒されるためだけに存在する敵キャラクターです。

C. SNS・日常会話での「モブ」

SNSや日常会話の中で「モブ」という言葉が使われる場合、それは「目立たない人」「平凡な存在」といった意味合いを持ちます。

たとえば、「自分は職場でモブだから…」といった表現で、自分を主役ではなく「目立たない存在」として自嘲的に言うこともあります。また、「彼はモブキャラっぽい人だね」といった具合に、他人を「特に特徴がなく目立たない」と評価する言葉としても使われることがあります。

一方で、SNS上では「自分はモブ」というフレーズを使って、個性を強調せず、あえて「普通」でいることの良さを表現するためにも使われることがあります。

たとえば、派手な自己主張を避けて、静かに目立たず過ごしたいというスタンスを示すことができ、「モブであること」自体を肯定的に捉えるケースも見られます。

3. 「モブ」の派生的な使い方

A. 「モブ顔」「モブ感」

「モブ顔」「モブ感」という派生的な表現もあります。「モブ顔」は、特に特徴がない顔立ちのことを指し、キャラクターのデザインにおいて個性が薄く、印象に残りにくい顔立ちを表現するために使われます。

例えば、アニメの中で主要キャラに比べて顔が簡略化されて描かれているキャラなどは「モブ顔」とされます。また、現実でも一般的な顔立ちで特に派手さがないといったニュアンスで使われることがあります。

一方、「モブ感」は、特定のキャラクターや人が持つ「平凡さ」や「個性のなさ」を指す言葉です。「モブ感がある」という表現は、周囲に溶け込み、特に目立たない人やキャラクターの性質を指します。これは自己主張が少なく、全体の雰囲気に馴染む人やキャラの評価として使われることが多いです。

B. 「モブ的思考」

「モブ的思考」という表現もあり、これは「周囲に流されやすい」「自分の意見を持たない」といったニュアンスで使われます。

「モブ的思考」とは、自分の意見や独自性を持たず、集団や多数派に従って行動する姿勢を指します。特に、SNSやインターネット上では、他人の意見に無批判に同調するような態度を「モブ的思考」と批判的に表現することがあります。

4. 「モブ」に対する肯定的な見方

「モブ」という言葉には、平凡さや個性のなさ、目立たないといった意味が含まれますが、必ずしもネガティブな意味だけではありません。多くの人にとって、特別でなくても平凡に過ごすことや、他人と共にあることは重要であり、むしろ平凡であること自体を美徳とする見方も存在します。

たとえば、ある物語の中で「モブキャラ」がいるからこそ、主人公の個性が際立つと考えることもできますし、モブがいることで作品全体がリアルに感じられる要素にもなります。

さらに、現実生活でも「モブであること」を受け入れ、個性を無理に強調せず、自分らしい平凡な生活を大切にする姿勢が評価されることもあります。

5. モブをテーマにした作品やキャラクター

近年では、あえて「モブキャラ」を主役に据えた作品も登場しています。これは、「普通」や「平凡さ」をテーマにし、主役級の個性を持たないキャラクターが、普通の中で成長したり、自分の価値を見つけたりする姿を描くものです。

例えば、「モブサイコ100」という作品は、「モブ」キャラが主人公で、普通に見える彼が、他の人とは異なる力を持ちながらも、平凡な生活を送りたいと願う姿を描いています。このような作品では、モブの視点や平凡さが逆に新しい魅力として捉えられ、主人公に共感する読者も多くいます。

結論

「モブ」という言葉は、単なる背景キャラクターを指すだけでなく、目立たない存在や平凡であること、さらには自己を過剰に主張しない態度などを表現するためにも使われています。

アニメ、ゲーム、SNS、日常会話といった多くの場面で使用され、ネガティブな意味もありますが、時に肯定的に捉えられることもあります。

モブであること、平凡であることには、独自の魅力があり、これからもサブカルチャーを中心に多くの人に支持され続ける言葉でしょう。

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